2018.03.05

対談

関西の領事館を巡りたい。 ~「昼下がりの領事」の企画にあたって~

東京で80ヵ国以上の大使館を巡り、行きたい国はほどんど行ったという古賀さん。関西では領事館を巡る企みを構想中!

関西の領事館を巡りたい。 ~「昼下がりの領事」の企画にあたって~

構成:結崎志穂

東京で80ヶ国以上の大使館を巡り、行きたい国(の大使館)はほぼ制覇したという古賀さん。一般には「行ける」とは思われていない大使館ですが、そこにはマジメな文化交流には終わらない魅力があるそうです。現在、関西の領事館を巡りを企んでいるとのことで、その想いをうかがいました。

【プロフィール】古賀エリザベス
大使館愛好家。予備校講師⇒TV番組製作ディレクター⇒通訳⇒ダンス講師⇒再保険アンダーライターを経て現在に至る。「バランスの悪い職歴だね」とよく言われるが、本人はこれでバランスが取れていると思っている。

 

「同じ人間、地球人と思えない」(古賀)

-大使館って一般人は入れない、厳戒体制を敷かれているようなイメージがありますが。

そうではないところもありますね。申し込めば行けるものもあるし、そうでないものもあります。半々くらい。

-先進国はオープンで入りやすい、途上国は入りにくいとか?

そういったカテゴリーとは関係なく、国民性ゆえにやたらとオープンなところもありますが、基本的には先進国、大国ほど敷居が高いです。

-そっか、逆なんですね。まあ考えてみれば、大国の方が厳しいのは想像がつきます。

でも、例えばスウェーデン大使館は6月にナショナルデーというお祝いをやるんですが、この日だけは年1回のオープンデイです。

-これはどんな人でも入れる?

そうですね、身元を証明できれば。事前に名前と住所と…もろもろ登録します。定員はないけど、入場制限があって一度に100人ずつくらい。だから行列ができる。

-基本的には「パーティ」という感じ?

パーティですね。スウェーデンのナショナルデーは北欧の短い夏をお祝いする夏至祭。ポールを建ててその周りを踊りお祝いするミッドサマー伝統的なお祭りなんです。男女とも花冠をかぶってお祝いします。スウェーデン国旗の青と黄色で色づけされた装飾がされ、合奏団とかが来て、子どもたちが自由に走り回っています。スウェーデン関係の企業の社員さんもたくさん来られて、おやじバンドの演奏はボルボの社員さんだったりとか。

ロシア大使館では、バレエダンサーのコンサート。後方から登場して真横をリフトした人が通るんですよ。すっごい迫力で。この世のものと思えない。同じ人間、地球人と思えない。すっごいきれい! あとは建物自体が豪華。やはり東西冷戦のときの栄華を誇ったソ連。そんな感じしますね、外観も立派で、塀の外はいつも警察の車が取り囲んでいます。

-基本的にパーティやその国の文化的催しがあって、食事が出てくる?

通常のイベントではそうですね。たとえば、スペイン大使館。名前の知れた国の大使館というのは、国の紹介というよりもその国の人の絵画展とかやることが多いんです。スペインワインをふるまってくれて、皆それを持ちながら絵画を観て回るという形式。スタッフが巡回してきて「もっと食べないといけない」とお替りを勧められます。まあ、これはスペインの国民性なのかなあ。

「海外に行かなくても楽しめるというのが魅力なんです」(古賀)

-行く時はやはりパーティ用におめかしして行くんですか?

パーティのときはドレスコードが招待状やメールに書いてあったりするので。ビジネスカジュアルやフォーマルといったそれに合わせた格好をして行きます。

-豪邸でのパーティ?

いえ、マンションの一室が大使館というのもありますよ。けっこう増えてるんじゃないかな。大使館というのは、戦後に大名屋敷を使用するようになったものが多かったんですけど、老朽化が進んでいて、今は移動したりしてますね。

-とはいうものの、そこそこのやっぱりいいマンション?

そうですね、場所は一等地だったりします。六本木ヒルズに囲まれたレジデンスの大使公邸だとか。向こうの上流社会って、客を自宅に招待して楽しむということが多いそうなんで。

-テレビドラマにで見るような上流階級のパーティですね。

ホント、そうなんですよ。大使館のパーティってそういうのが多いのでやめられない! それを海外に行かなくても楽しめるというのが魅力なんです。

-逆に海外に行ったらこういうのは楽しめないですよ。

そうですね。普通の海外旅行では、現地にそういったお友だちがいなければ、こういう機会なんてないですもんね。

「子どものとき、スパイになりたかったんです(笑)」(古賀)

-そもそも、なんで大使館? 入れるっていう知識はあった?

ありました。私は大学で国際政治学を副専攻してて、そのときの研究者のツテでコートジボア-ル大使公邸に遊びに行ったんです。当時かつて戦争を経験した元軍人の方が大使で、顔に傷があったりして怖かったんですけど、けっこう面白いなと思って。それで、もしかしてこれはいろんなほかの大使館も入れるんじゃないかなかと思って調べ始めたんです。なかなか大々的には宣伝してないんですけどね。

– なるほど。

勤めていた会社の同じビルに大使館が入っていて、エレベーターでいっしょになると「こんにちは」とか挨拶して仲良くなって情報を…なんてことも。

-スパイみたいですね、それって(笑)

子どものとき、スパイになりたかったんです。たぶんそういう憧れがどこかにあるんでしょうね。『007』のジェームス・ボンド。父親があの映画大好きで、横でいっしょに見てたんですね。ボンドが他のスパイと接触するときや、ターゲットを追うときって、絶対に上流社会のパーティシーンじゃないですか。タキシード着て「あいつだ!」とか言って、別の言語をわ~っとしゃべって…そういうのが、おっしゃれやなぁって思って。

-そのときの興奮が、大使館に行ったときによみがえるとか。

たぶんそう。最近気付いたんですけど。あの映画のシーンがたぶん大使館のなかのシーンと重なってるんですね。

-どこかに潜入したという意識はある?

無意識ですけど、たぶん。「やったぜ!」みたいな。大使館によっては、入り口がガッチャーンって閉まって「はい、パスポート見せて」って言われるんです。両サイドのドアが閉まるんですけど、パスポートを見せたら、ガッチャって開くんですね。それがたまらなくて(笑)。

「時間かけずにお金もかけずに、行ける海外」(古賀)

-大使館巡り出してどれくらい?

意識して行き始めてからはまだ2年。実は…その少し前に給料が半分になったんですよ。あることがきっかけで。東京でしょ。生きていくのが精いっぱい。だけど海外に行きたい。でも行けない自分。で、「あぁ、そうだ大使館に行ったらいいや」というのを思いついたんです。

-関西では領事館ですが、いくつか回っていけそうですか、感触としては?

今、いくつか電話で交渉中です。少し前に関西のロシア領事館に、バレエダンサーが来阪したので行きました。ここは領事がすごく日本語が堪能でサービス精神あふれる人なんです。

-では最後に、この記事を読んでくださっている皆さんに「大使館・領事館を巡る魅力」をあらためて語って下さい。

時間かけずにお金もかけずに、行ける海外。しかも安全。大使館や領事館だと行けるよっていう国、けっこうあるんですよ。戦争などで渡航が推奨されない国などです。。そう、シリアも大使館は行ったんですけどね。海外旅行だったら行ってなかったな。

 

結崎 志穂

Shiho Yuzaki

室町文化、イタリア、飲酒飲食が好き。花隈の猫一族。

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