2021.04.14

プロジェクト

女性の活躍を推進すると何が起こるのだろうか。

女性の活躍を推進すると何が起こるのだろうか。

文:小倉なおこ

大手総合商社の丸紅が2024年までに総合職新卒採用の約半数を女性にすると発表した。これまで総合職の9割を男性が占めていたが、これまで通りのスタイルでは今後通用しなくなるだろうという危機感を感じている。
従業員300人以上のいわゆる大企業は、既に97%が女性活躍推進計画を策定しているという。企業としてしっかり取組む姿勢を見せないと、もはや採用活動で人が集まらないのだそう。男女雇用機会均等法ができてから35年。長年日本にはびこってきた問題が「今まさにそこにある課題」になりつつあるようだ。
そして昨年、女性活躍推進法が改正され、従業員101人以上の企業も計画の策定が義務化されることとなった。いよいよ日本の大多数を占める中小企業も対象となってきた。

 

 「女性活躍推進」と聞いて、どんなことが思い浮かぶだろうか。

「うちは管理職になりたがる女性がいないんだよね」

「どうせ努力義務でしょ?」

「数値目標だけなら出せるけど、実際にはなかなか難しいよ。」

そんな声がちらほらと聞こえてくるのではないだろうか。

はたして女性が社会で活躍するために、行動計画や数値目標を設定することに意味はあるのだろうか?そもそも会社内で女性が活躍しているとは、どういう事なのだろうか。

 

【 DAY1 】人生100年時代。楽しまなきゃ損だよねっ!

なりわいカンパニーでは現在、エム・シーシー食品株式会社(以下エム・シーシー食品)の女性活躍推進計画を共に進めている。エム・シーシー食品は、2016年から女性活躍推進に会社として取り組みをはじめている。この規模の企業で行動計画策定しているのは兵庫県内でも1151社中わずか4.6%。昨年より、これまで数々の協働を手がけてきた湯川と、兵庫県の県職員としても女性活躍推進を担当する鴨谷の2人がなりわいカンパニーからチーム入りし、次の5カ年計画の策定に向けてディスカッションを重ねている。そして2021年1月27日と2月3日の2日間に渡り、次の5ヵ年計画を現実的に進めるため、男性・女性含め一般社員を集めたワークショップが開催された。

湯川 私は学生時代からYahoo!JAPAN創設メンバーとなり働きはじめました。その後スペインに渡りライターとして10年活動し、そして帰国後に神戸で起業するという人生を歩んできました。なぜ日本に帰ってきて起業したかというと、自分は組織で働けないタイプだなと思ったんです。それならば。仕事の内容と働く環境を「自分が楽しくいられるように変え続けるしかない」と思ったんです。自分がね。でもそれって、よく考えてみると、組織にいてもできることなんですよね。

「夫や妻より共に過ごす時間の長い仕事。楽しまなきゃ損だよねっ」と語る湯川

人生100年時代といわれる現在。私たちは一体何歳まで働くことになるのだろうか?人生の大半を過ごすことになる会社が楽しくいられる場所だったらサイコーだ。そう頭では分かっていても、具体的にはどうすれば良いのだろう。

この日は、思い切って自分の弱みをカミングアウトする所からはじまった。

「私の弱みは計算が苦手なことです。」「私は整理整頓ができないんです。」など、それぞれの弱みを1人ずつ話していく。

すると、なぜだかこの場が「こんなこと言ってもいいんだ」という雰囲気になってきた。

次は、周りの人の弱みに対し、自分が役に立てるところを考え、アイディアを出していく。

「計算苦手な方にはパソコンの計算式を設定してあげるよ!」という言葉が。また「大きな計算機を買って送るよ~!」という意見も飛び出した。

湯川 会社を意味するカンパニーの語源は「Com=分かち合う」と「Pany=パン」。つまりひとつのパンを分かちあう」なんです。日本語で言えば、同じ釜の飯を分かち合う仲間ってことなんです!

もしも、その意識をみなが持ったとしたならば。

会社はどうなっていくだろう?

 

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ディスカッションの内容は、次第に具体的な社内環境へとフォーカスされていく。そこで社内の様々な制度が周知されていないという問題が出てきた。

ここからは、よくありそうな例え話で考えてみる。

社員「有給を2時間から取得できる等、融通利かせて取れるようにして欲しいです。」

人事「うちには、有給のこんな制度を既に作っていますよ。」

社員「そんな制度、知らなかったです。周知できてないですよね?」

人事「掲示はしているんですが、、、」

と、どこの会社でもありそうな現場vs人事のやりとり。

「ちゃんと掲示したから仕事はやった。」「掲示されているのなんて知らなかった。」の平行戦。どうして会社の取組みは、なかなか社員に周知されないのだろう。

女性活躍推進にしてもそうだろう。会社が数値目標を策定すればOKという話ではないはず。それを「どう社内に浸透させていくか」という大きな壁はどうしたら越えられるのだろうか。

 

【 DAY2 】自分たちで会社をつくっていく

2日間に渡り開催されたこのワークショップ。

1日目は自分自身に焦点を当て、それを周りと共有していき、明日から自分ができるアクションを表明した。

そして2日目は「理想の職場とはどんな職場なのか」を考え、具体的にアイディアを出し合っていった。

営業メンバー 私は若い女性にも、もっとこういう場に参加して欲しいです。例えば、生理休暇は制度としてはありま      

       すが、恥ずかしさが勝ってしまうんですよね。

工場メンバー 生理休暇を有給にするというのはどうでしょう?

鴨谷     ネーミング変えている会社もありますよ。

営業メンバー 女性だけ生理休暇込みで有給を増やすとか。あと在宅勤務を許可してくれたら、家で工夫しやすいので

       助かります。

鴨谷     (有給取得率の資料を共有)有給は拠点によって取得率に差がありますね。

工場メンバー 工場は人員がカツカツで、有給が取りづらいんです。「休むと迷惑かかる」の意識がみんな高くて。 

営業メンバー 有給取れるように、余裕のある人員を確保するのはどうでしょう?

工場メンバー その話にのかって、アイディア思いついたんですけどいいですか?休んだ人をフォローするスーパーバ

       イザー制度を導入するのはどうでしょう。

鴨谷     あと営業の場合は東京・大阪以外の地方の取得率が低くなっていますね。

営業メンバー 支店長など事業所トップは、有給消化率上げるのも仕事のひとつにしちゃうとか?

 

議論はこのあとも時間ギリギリまで続いた。

先ほどの例に挙げた「人事vs現場」の攻防戦。もしかしたら、人事側にしても現場側にしても、それぞれが自分ごとにとらえた時に情報は伝わるものなのかもしれない。

私たちは普段、自分の仕事を果たすことに集中している。だがこの場ではどうか。「自分たちの会社を自分たちがどうしたいのか」問いを立てて考える。話し合う。部署間の壁を越えて、そして会社という壁もいったん外して、外部の視点も含めてみなで一緒に進めていく。そうした場をつくるのに、協働はどう作用するだろうか。

 

女性活躍推進の先にあるもの

エム・シーシー食品の水垣常務取締役(営業本部長)がワークショップの最後にこんな事を言っていた。

人生100年時代なら職場を楽しくするしかないですよね。制度つくる、というアクション。周知する、というアクション。言いにくいけど、言っていくというアクション。そして我々会社は、それを丁寧に受け止め理解していく。歯車を回し始めるのは大変だけれど、回り始めたらね。今回はキックオフですね。

女性活躍推進とは、実は女性だけの問題ではなく、これまで不利とされてきた「女性でさえも活躍できる会社」ということなのかもしれない。

管理職になりたがる女性がなぜ社内にいないのか。

それなら、

管理職になりたがる女性が沢山いる会社はどんな会社なのか。

「今回のエム・シーシー食品は男性・女性一緒になって進めていますが、企業によって進め方は全く違うんです」と鴨谷はいう。女性が中心となって進めていく会社もあったりと、やり方はそれぞれ。なりわいカンパニーでは、その企業の風土ややり方に寄り添って何度も話し合いを重ね、進め方を一緒に組み立てている。

きっと女性活躍推進に、答えなんかないのだろう。

それぞれの企業で働く人たちが「自分が楽しく働ける会社ってどんな会社だろうか」と問いを持つ。

考える。

何度も何度も議論を交わす。

そうした先に、その企業の目指す何かが。

ぼんやりと見えてくるのかもしれない。

 

 

 

 

 

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