2023.06.09
プロジェクト
今の時代に、WEBではなく紙メディアをつくる効果
目の前にあるタブロイド紙。ふと手に取って広げ、目についたところを読む。あ、その隣の記事も面白そうだとつい読み進めてしまう。あぁこれ誰かに見せて話したい、そう思って折りたたんでカバンに入れる。
これが、効果を生む「紙メディア」の日常風景。
「読者との接点をつくりにいく」紙メディア
WEBの時代に、あえて紙メディアを提案、製作するのは、物理的に配布する、手渡すことで、企業側が「読者との接点」をつくりにいけるから。WEBでは”見に来てもらう”という「待ちの姿勢」であるのに対して、紙メディアは渡す場所、手渡し方など自発的に読者とつながることができる。
一方で、読者にとっては、主体的に情報を読みにいくWEBと違って、紙メディアはあくまで受け身。だからこそ、興味があって読んだ記事のとなりを「ふと読んでしまう」という偶然が起こりえる。この偶然の出会いによって、思いもよらない顧客予備軍がつかめるチャンスを生む。
情報ではない「佇まい」が伝わりやすいタブロイド紙の効果
紙メディアといっても、冊子やパンフレットのような形態ではなく、あえてタブロイド版の新聞形式にすることにも、いくつかの理由がある。
ここで、日本酒をテーマにしたタブロイド紙「NIHONSHUと。」を例に、その理由と効果について3つのポイントでまとめてみた。
まず1つ目は、フリーペーパーのようにカジュアルさがあるので、誰でも気軽に手にとりやすく、手渡しやすいこと。2つ目は、呑む、暮らす、伝統、など「日本酒のフルラインナップ」を意識した多面的な構成を一目で見渡せることで誰の興味関心にもいずれかの記事がヒットすること。しかも全体の佇まいを一目で感じてもらえるという効果も。そして3つ目は表紙からじっくり読むのも、パッと広げて「酒器」の記事を読むのも自由ということ。パンフレットのように前からめくるような強制感なくアピールできるのもタブロイド紙ならでは。
「WEBの内容を、そのまま紙に」では、効果は出ない
先述のタブロイド紙「NIHONSHUと。」は、ウェブメディア「DEMOくらし日本酒」での掲載記事を、紙媒体用に“読み物”として完結するよう編集、制作したもの。目についた時に「つい、読んでしまう」面白さは絶対条件。さまざまな施設や競合他社からも配布希望の声があがった。
ウェブメディアのダイジェスト版もしくはWEBへの導線を狙った内容で紙媒体を製作しても、戦略的に「感じてもらう」ことの効果が薄れ、例えば「日本酒業界全体の底上げを狙う」といった本来の目的を果たす存在にはならない。
この記事を読んだ⼈におすすめの記事